言いたいことは完結に。

Compactly Completed Comics

本書のキャッチコピーを「手クニシャン、そろってます」にしたら大炎上確定ですね。

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水波 風南(みなみ かなん)
レンアイ至上主義(れんあいしじょうしゅぎ)
第4巻評価:★☆(3点)
  総合評価:★☆(3点)
 

4月、晴れて同じクラスになった世莉(せり)と碧樹(たまき)。なのに、隣の席の鷹来(たからい)に推薦されて、鷹来と一緒のクラス委員になってしまった世莉。放課後の見回り中、鷹来に襲われてしまいます。しかし、体が心とは裏腹な反応をしたことに世莉の心は乱れ…

簡潔完結感想文

  • 自ら鷹来の術中にはまっていき、その「魔の手」から逃れられない世莉。
  • 碧樹に相談できないまま身体を蹂躙される日々。だが肉体的快感が…?
  • 泣きっ面に蜂。碧樹に別れを告げられた世莉は泣き崩れるしかなかった。


いよいよ この学園自体が魔窟だということが判明する4巻。

相変わらず酷い内容。
読んでいて思ったのは性を扱う側や描かれ方によって同じ内容でも反応が違うのだろうということ。
例えば本書と同じ内容を同じ媒体で「男性作家」が発表したら、女性蔑視と性的描写で大問題なんだろうなぁ、と思ったり、
主人公を蹂躙する相手が40代の冴えないサラリーマンだったら同じ内容でも読者が嫌悪感を覚えて連載が続かないよなぁ、と思ったりした。
結局、受け手側の許容の問題なんですかね。


さて今巻の冒頭で理数科と普通科が分離したのは、暴行(未遂)写真が学校中にばらまかれた世莉(せり)の事件がきっかけだと判明する。
そしてエリートの理数科では元を断つために、異性交遊者の摘発をする予定らしい。
世莉は理数科の中でも好奇の目で見られながら過ごしているのか…。

ということは学校の二分化の真犯人は写真をまいた九条先生ということですね。
つまり九条先生はもう少し待っていれば遠回しの「別れさせ屋」稼業も上手くいってたかもしれないのですね。
世莉が性欲と知識欲を直結させる勉強法で理数科に編入し、異性交遊者として摘発されるのさえ待っていれば…。
そうすれば愛しの碧樹(たまき)くんを我が物に出来たかもしれないのに、焦りましたね 先生。


今巻は世莉が理数科のクラス委員・鷹来(たからい)の目に留まって、今度は彼から性的暴行を受けるという内容(書き起こしたくもない…)。
しかも彼はこの学園の理事長の息子で、性に異常に旺盛な意欲を見せる親子だということも判明。
理事長室という名のホテルの一室を作っている時点で、この学園はもうダメなのかもしれません。

内容は性的暴行を受けても快感を感じることに懊悩する世莉、という訳の分からないテーマ。
レイプを題材にした物語を描いた経験があって、この展開を持ってくるデリカシーの無さには呆れます。
「本当は感じてたんじゃないの?」なんて被害者を苦しめる セカンドレイプの典型的なセリフだろうに。
万が一、被害者の方が読んでどう思うか、一度は問題意識を持った人なのにこういう物語を描けてしまう神経を疑う。

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好きでもない人に触られて反応する世莉の身体
鷹来は授業で先生の周囲に集まって話を聞いている最中の世莉にも暴行する。痴漢です。そして痴漢ですら犯罪です。
ちなみにこの頃から男性陣の顔が上下つぶれてきてませんか?
特に斜めの顔の眉から口までの距離が近すぎて違和感を感じる。
頭身もやけに高くなって、キャプテン翼かな?と思う時がある。
碧樹の肉体にエロさを感じないのは身体のバランスが現実離れしているからかな。
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(左)1巻の碧樹 (右)8巻の碧樹  顔を上下から押し付けられ目が離れていっている
そしてこの前後から作者が明らかに碧樹よりも、以前出てきた宙(そら・レイプ犯)や鷹来(同レイプ犯)に肩入れしているのも気になる。
確かに漫画のキャラクタとしては一途で真面目な碧樹よりも、宙や鷹来の方がその裏にある二面性が描けて楽しいだろうけれど、罪の重さを考えず作品に重用するのには違和感がある。
そしてこの作者の贔屓によって碧樹が一層つまらないキャラに陥っている気がする。
世莉が被害者になる作品の構成上とはいえ、彼女を守り切れていない、空手キャラも空回りしている感じが出てしまうんですよね。


碧樹以外でも快感を覚える自分の身体の反応に戸惑い、その痕跡や懊悩から逃れたい世莉は碧樹を誘う。
…のはいいんだけど、場所は下校途中のどこかのアパートの階段。
いつもより甘い雰囲気で碧樹に優しく包まれるとかではなく、「お前が誘ったんだからな」と碧樹に悪役みたいなセリフを言われながら致してます。
そして碧樹は「ああいうのすげー嬉しいんだよ」と誘惑も屋外プレイにご満悦の様子。
溜息しか出ませんね。

暴行を受けて快感を覚えたことで 暴行が碧樹にも言えない問題になるという謎理論。
快感の部分を抜いて相談すればいいんじゃないの…?
「こんなこと言ったら嫌われちゃう」というのは少女漫画の男女交際の基本問題だけど、本書では次元が全然違う。


そして今回もまた世莉の空手は通じない。
女性の非力さ、空手の無力さを描いて何がしたいんでしょうか。
世莉がいつまでも空手に戻らないのは、空手を本格的に初めて未経験者に負けるのはさすがに問題だと作者が考えているからですかね。


そういえば碧樹はこの時点で世莉が本当にレイプされたと思ってるんですかね。

世莉は当事者として自分がまだ碧樹だけのものだという自信があるから、将来の夢は碧樹のお嫁さんとか、ある意味無邪気に言える。
だが、碧樹としては微妙なところですね。
他の男に凌辱されて、快感も覚えたと告白する彼女を嫁にするのは高校生には抱えきれない問題だ。
そして結婚するためにも「警察沙汰なんて絶対やめて」という世莉に碧樹は絶対にしないと約束するが…。

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碧樹に愛されるために汚れた身体をキレイにする世莉
本書で唯一心が痛んだのは鷹来に触られたところを洗い続ける世莉の描写ですね。
被害者の自分が汚れていると苛むから暴行は怖い。
それを知った上で作者が世莉をレイプし続けている。
こういう倫理観の作品を嬉々として送り出す編集側に抗議するには不買が一番なんですかね。
今後は自分の精神を守るためにも、小学館の漫画だけは中身を見てから買いたいと思います。
担当編集者の名前検索しちゃいましたよ。
今も編集者としてご活躍らしい。嫌だ嫌だ。


そういえば世莉は同級生たちから声を掛けられはするものの、女友達って一人も登場しませんね。
でも世莉は友情と恋愛のバランス取れそうにないですから不必要でしょうね。