言いたいことは完結に。

Compactly Completed Comics

わたしのデリカシーのなさを、とくとご覧なさい!

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遠山 えま(とおやま えま)
わたしに××しなさい!(わたしに しなさい! または わたしにバツバツしなさい!)
第10巻評価:★★☆(5点)
   総合評価:★★★(6点)
 

初恋スランプで小説ランキングがダウンの上、「がんばってくださいね(笑)」とライバル・ドルチェに応援(笑)され、雪菜の作家魂が大炎上。激しいラブがしりたいと、恋人選抜デートバトルを時雨と晶に突きつけた!…ら、男子二人の想定外の行動が⁉

簡潔完結感想文

  • 失恋を忘れるスゴイことをしに向かったのは時雨の家で、親もいなくて…。
  • わたしを恋人にしなさい。高慢な女王のバッドエンドを希望する私がいます…。
  • 昼はあいつと夜はあの子と。奔放な女王様の心を射止めるのは誰か?


長期連載で「得する人損する人」が出てくる10巻。
それぞれの気持ちが確定してキャラクタや立ち位置が大きく変化している。


得しているのは時雨ですね。
後述するように雪菜がダダ下がってるから相対的にそう見えるだけかもしれませんが、仮面が外れた彼の一途な思いは少女漫画のヒーローに相応しい。
今巻で遂に時雨は雪菜に自分の想いを伝える。
時雨は最初が絶対的な偽善者で悪人だったからこそ、この純粋な気持ちが対照的に映る。
自分ばかりを先行するのではなく、雪菜の気持ちが整ってこその恋だということまでちゃんと気づいている。
そこが肉体的な接触ばかり求める、自分の興奮ばかりを追い求める雪菜には不評のようですが、大事に思うからこそ気軽には触れなくなる。
時雨はラブが分かってきた様子。

マミもまた上がった側かな。
時雨とも上手に折り合いをつけてるみたいだし、彼女のなりの奮闘を見せている。
主人公のライバルという位置からはフェードアウトして、これまでのように多くの出番は失ったが、その代わり本来のマミらしい天真爛漫さが出てきているのではないか。
失恋してからは損得勘定なく晶を応援してるし、彼女の健気な感じが伝わってきます。
ホント主役の誰かさんに比べると、和む人です。
今巻の終盤でトラブルに巻き込まれているのが気になるところではありますが…。


損得が今はまだ不明なのが晶でしょうか。
マミのイメチェン作戦によって髪を切り、今までずっと隠れていた瞳の露出が多くなりました。
少女漫画では少女はメガネを取ったら美少女に、少年は髪を切ったら美少年にはお約束ですかね。
でも雪菜も分からないってどうなの?
絆はどこいった? そういうところが雪女なんじゃないっすか?

晶は少しキャラが変わりましたね。
よく言えば積極的ですが、悪く言えば挑発的で、大人しいけど一途に待つ晶が好きだった人には評判が悪そうな変わり方。
時雨の本気やこれまでの積極性を肌で感じてきての焦りもあるのでしょうけど、公衆の面前で服を脱がそうとしてみたり、時雨に対抗して耳を甘噛みしてみたり、ちょっと自分のアプローチの仕方を見失っている感じがします。
これまでの自分とは違う一面を見せることは雪菜へのアプローチとして損得どちらに出るのかに注目です。


そして損を一人で背負っている主人公・雪菜。
自分が失恋することによって恋や人の気持ちが少しは分かり始めたのかと思いきや、相変わらず小説の展開ばかり。
ライバル・ドルチェには人気より人を喜ばせるのが作家としての使命などとご高説を垂れているが、結局、実体験がないと小説家は休業状態という有り様。
なので、今後の展開のために時雨か晶に新たなミッション「わたしを恋人にしなさい」を課す。
「ミッション」の名目があるものの結局、雪菜を巡って2人の男が取り合う展開に落ち着きましたね。
それも10巻も使って。

自分では恋人を選べないからデートで選考するという女王様っぷり。
そして何より気になるのは、2人の本気の気持ちを知りながらそれに向き合わない点。
小説家、人間観察が得意、失恋して恋を知った、などと言いながら人の心を無視するのが雪菜。
雪女の二つ名は伊達じゃありません。
ちゃんと彼女の本質を表している。


小説の新たな展開を狙って、なかば小説世界に生きながら下された雪菜の新ミッション。
「ボクが盾になって守ってあげる」は、晶の言葉。
晶はユピナとしての活動も知ってるから、雪菜の小説上の設定に乗ってあげたのだろう。

けど「オレが剣になってつきさしてやるよ」の時雨の言葉は、小説をまるで知らない時雨なのに出来過ぎだろう(剣と盾という単語は雪菜がその前に使っているが)。
もしくはこれ、ド下ネタですか…? 時雨の願望ですか?

ちなみにこの時、雪菜は左の耳をペロッと、右の耳をはむっとされながらこの言葉を聞いております。


作品としては落ち着くところに落ち着いたというか、ようやくスタートラインに立ったというか。
ただずっと雪菜が間違い続けているのが気になりますね。
小説家としても人としても、残念な人になっていくのが悲しい。

そういう事も含めて本書の作者は分かっていてやっていると思えるのが救い。
誰かさんと違って行き当たりばったりで物語を作ったりは絶対にしていないと言える。
ある意味でベタな男2人からの求愛という展開まで求心力を保っているのは本当にすごい。